「悪役令嬢と極道P」新連載のお知らせBlog

ドラマCD2「Aqua Balance」

ファンタ2ドラマCD - 3連作

  1. Marine Style(マリン主人公)※脚本監修のみ
  2. Aqua Balance(アクア主人公)
  3. Aoi Romance(葵主人公)

一 プロローグ

○OPメインテーマ・一巻と一緒の処理です。

【アクア】「青い、どこまでも青い海の真ん中に、その島はあるの。ひとつの大きな島と、それに連なる小さな島。その場所の名は『アロランディア』。そこに私は、流れ着いてきた」
【アクア】「……私は、自分がどこから来たのか忘れている。ここに来るまでの記憶も、過去も、なんだか海に流してしまったみたい。だけど、どうしてだろう。……ちっとも不安なんかじゃないの」
【アクア】「……必ず、私の欲しいものはここにある。それを探しに私は海から流れ着いて、忘れて、生きていると思う。……見つからないとしたら、それは私が見つけられていないだけ。砂浜の中の貝がらのように、海に魚が住むように、空に星があるように。……きっと必ずあるはず。探してる。そのために、私はここにいる。……この島に来たの。……私の探しもの」
【アクア】「……それは、『しあわせ』」

二 ハラペコマーチ

○魔法院の朝。アクア、ハラヘリ状態で廊下を歩いています。

【アクア】「……おなか……すいた……」
【アクア(M)】「私の名前はアクア。……記憶喪失。そして、星の娘候補。手のひらにある小さな星の形が、私をこの魔法院へ連れてきた。ここはとても人が少ない。あるはずのないところに火を熾し、あるはずのないところに水を呼び込む。……魔法はまだ、この島の人には受け入れてもらえていなくて、怖がる人もいるから。……だけど、あんまり気にならない。私、変かな。怖がられても、びっくりされても、それはそれでいいかと思うの。私は私。それがわかっていればいい。……ひとつをのぞいて」
【アクア】「そのひとつは……はらぺこ。これだけは……気になる。我慢ならない……おなか、すいた」

○アクア、ユニシスの部屋の扉を叩く。ドンドンドン。

【アクア】「ユニシス〜、ごはん〜……。救助、救助〜!」
【ユニシス】「(部屋の中で驚いて、転ぶ音)わっ!」
【アクア】「……ん〜?」

○ユニシス、慌てて出てくる。

【ユニシス】「はいっ、ただいま! ……なんだお前かよ、アクア」
【アクア】「しつれーね。お前じゃなくてアクア様とよべ」
【ユニシス】「……お、お前なあ……俺を一体なんだと思ってるんだ」
【アクア】「オムライスを作る人。びし」

○お腹が鳴る。

【ユニシス】「人を指さすなっ! 行儀悪い! ……メシくらい自分で作れば。これから俺、出かけるから。時間ないんだ。じゃーな」
【アクア】「あ、そういえば慌てた音だった……。そんなに急ぐってことは……くんくん秘密の匂い。ニヤリ」
【ユニシス】「ち、違うよ。勉強! そ、そう。騎士院で忙しいんだよっ。こないだ借りてきた本が、結構おもしろくてさ!」
【アクア】「あら、騎士院から……? めずらしい」
【ユニシス】「ソロイ様が鍵、貸してくれたんだぜ。勉強のためにって。へへ」
【アクア】「あらあら、まあまあ。また、頭打ったのかしら?」
【ユニシス】「お前ら、ちょっとソロイ様に偏見持ちすぎ。確かに怖いけど、いい人じゃん」
【アクア】「……ま、いいけど……ね……」

○廊下奥のヨハンの部屋から。

【ヨハン(オフ)】「そ、そんなのは困ります! ……だ、断固拒否します!」
【アクア】「……あれ、先生の声……?」
【ユニシス】「めずらし。先生が朝から起きてる」
【アクア】「……何かあったのかしら……」
【ユニシス】「……なんだろね? また、厄介ごとじゃないといいけど……」

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