-
猫ト指輪ト蒼色絵本
はじめに・公開によせて
Twitterでファンタ2について少し考える機会があり、お試しにマガジンを作ってみます。ファンタ2とエンジェル・プロファイルに関しては、ジェネックス・サイバーフロントさんが会社を清算される時に、弁護士さんの手続きのもと、私の作った素材(シナリオ・... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
猫ト指輪ト蒼色絵本[目次]
-
猫ト指輪ト蒼色絵本
送り火
○暗転。 闇の中、一枚の札を燃やす。 ○炎が灯る炎。暗転に灯り。 それは言葉を届けるためだ。海に沈んだ心を慰め、癒やす。ざあん、とひときわ大きな音が響く。それは私の足下も揺らした。古ぼけた小舟には私ひとり。あたりに漂う数千の澱みが、今にも赤い... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
雪月花
○暗転。 雪、月、花。四季折々の美しいもの。戦い疲れ、くたくたになった私の心を、それらはどれだけ癒やしてくれたことだろう。——目覚めの端、いつも枕辺にはそれがいた。 ○一枚絵 寝ている子ども(葵)。枕元に花。侍女バージョン。 【葵】「けほけほっ…... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
ばなな
○暗転。 アロランディアに来て、もうずいぶん経った。——実際は一月程度だから、ずいぶんという言葉は似つかわしくないのかもしれないが。けれど、あえて私はこの言葉を使いたい。——私はここに来てずいぶん経った。だからもうたいていの事には驚かないし、... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
恋愛小説家
○補足 リュート十四歳です。○暗転。 その頃、僕は十四歳になったばかり。肌寒い春を抜け、初夏に差し掛かろうとする季節。緑青々とした小道の奥の、小さな赤い屋根を目指して僕はいつも走った。アークに見つからないように抜け出して、アークにばれないよ... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
ハッピータイム
○広場。 お日様がちょっとてっぺんから傾いた時間。広場の中央、噴水近くで僕は水のせせらぎに心を浸し、待っていた。(……あー、憂鬱)ため息ひとつがとても重たい。サラサラとした水の流れが、どうにかそれも流してくれたらいいのに。これから起こるであ... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
Three years after.
○暗転。 君を力一杯抱きしめた。三年は長かったね、と思う。だって背がとても伸びてる。僕も伸びてたから、本当によかった。並んで低いと格好がつかないでしょう、恋人同士としては。右手の星は相変わらず。特別な意味はもうないから、別に付いていても構... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
指輪
○暗転。 手がかりは、私が初めて作った『金』。天然のものとはやはり違う、銀に近い、その薄すぎる色合い。成分は確かに本物と変わらないのだけど、偽物はやっぱり偽物だということか。それでも初めて練金に成功したのは、奇跡としか言いようがなく、私は... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
火打ち石
○暗転。 夏の残り香がまだ色濃い季節、私は新しい三人の生徒を受け持った。この国を治める神殿の、最高指導者であるプルート様の命によって。初めて会った時の彼女らの反応は様々で、驚き慌てふためく人、沈着冷静に受け止める人、大げさな程に礼儀正しい... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
24h
○暗転。 新しい朝が来た。希望の朝がー……。 ○ぢりぢりぢりりりと目覚まし時計。○一枚絵 寝起きのヨハン。 【ヨハン】「……あさ、しちじ。……あと、ごふん」 ○ドアが開く音。みんな三年後の立ち絵です。 【ユニシス】「おっはよーございまーす! 先生! 今... -
猫ト指輪ト蒼色絵本
導く者
○暗転。 クルクル、クルクル。回る運命。それをただ、見つめたあの頃。 【ヨハン】「そんなに欲しいなら、買ってあげましょうか?」【ユニシス】「え?」 ○港。セピア。 初めてアロランディアに下りた時、バザーで目についたそれ。別にねだったつもりはな...