11月27日「COMITIA142」K39ab公式

快適な執筆と資料管理を約束するApp。「Craft+Notion」

Craftはとにかく執筆が楽しいアプリです。Markdown式のエディタはだいたい便利に引き換えて美しさが犠牲になっていますが、Craftは上手に共存してくれます。ブロック編集に慣れないうちは、いささか戸惑うかもしれません。

Wordや一太郎のような、独自ファイルで固める旧来のドキュメント作成に慣れた人ほど、Craftは革命的に映るでしょう。

ここ十年ですっかり下火になってしまったアウトラインプロセッサ(Nami2000Story Editor)のような、構造化テキストエディタをお探しの方にもオススメできます。ツリー表示以外のことはすべて可能で、機能アップされています。

目次

Craft or Notion

NotionやCraftのような執筆・管理一体型サービスが急激に流行ったのは、コロナ禍によるテレワークの増加で、各人のドキュメント管理が難しくなったためと言われています。データ更新のとりこぼしや紛失を防ぐためにも、どちらかひとつは導入したいものです。

以前の記事でも触れましたが、CraftとNotionは競合するサービスではありません。PhotoshopとIllustratorのように、独自の強みと目的があります。

私はNotionを執筆以外、Craftを執筆専用に分けて使っています。Notionのデータベース管理はCraftより圧倒的に優れています。逆に執筆そのものは、Craftのほうがビジュアルリッチで快適です。

データベース管理と表計算は圧倒的にNotionです。Notionは簡易な関数が扱えますが、Craftは表組み(table)しか作れません。逆にNotionは単純な表組みが作れなかったのですが、2022年に解消しています。

実際の執筆・運用

私が実際に行っている、Craft+Notionの執筆管理フローです。

STEP
日々の業務と資料集めはNotionに集約。

連絡先の管理、月報、確定申告に必要な書類。日々発生する膨大な紙資料をスキャンして仕分けなど。「今は必要ないけど、いつか必要になるかもしれない」ものほど、Notionに入れておきます。

STEP
執筆はNotionを見ながらCraftで行う。

小説やBlogの執筆。メールの下書き。形式が決まっている業務メールはテンプレート化しておくと捗ります。

STEP
納品を終えたらNotionに履歴とバックアップを残す。

相手先がある作業は手元に制作・納品履歴を残しておきます。漫画連載などの継続仕事は、ペンの設定や使った資料サイトなどメモしておくと、困ったときに慌てません。同人誌の場合は参加イベント履歴や本の装丁詳細、表紙やお品書きを添付しておきます。

Craftには「現在抱えているもの」だけを表示させます。集中力の持続には欠かせないことです。

終わった作品や記事は「Done(完了)」フォルダを作ってアーカイブします。データベース管理をうまく使うコツは「できる限り削除せず、見えなくする」ことです。データにとって、削除は死と同じ…。

こうしてドキュメントが蓄積されるにつれ、串刺し検索の威力が増していきます。「あのとき書き留めたメモ、どこだったっけ」と探す回数が圧倒的に減ります。

スマートな共有機能

Craft・Notionどちらにもある機能です。

人に渡すときはファイルを送るのではなく、共有機能でURLを送信します。公開期間を設定しておけば、後でファイルを削除する後始末もいりません。

添付ファイルが巨大だと容量が危うくなりますので、クラウドストレージサービスと組み合わせて使いましょう。ダウンロードURLを貼っておけば、あらゆる情報と紐付けて、一元管理できます。

旅のしおりや共同作業の進捗管理、外注指示書など、用途は無限にあります。わざわざ確認用ページを作るためだけに、WordPressやサイトを立ち上げる必要がなくなります。

豊富な出力形式(Craft)

PDFのほかにも、よく使われる書き出し形式が揃っています。「どうしてもWord」という相手向けにもOK。ただしWord特有の過剰装飾をインポートして、そのままCraftで再現することはできません。

テキスト形式で書き出したいときはMarkdownでエクスポートして、拡張子を「.txt」に書き換えるか、エディタで開いて保存し直します。Markdownの中身はプレーンテキストです。

ビジュアルリッチで美しい画面(Craft)

Notionに比べて、Craftはビジュアルリッチな画像レイアウトが得意です。友だちの誕生日に送るSS(ショートストーリー)や漫画ページを作って、共有機能で送るなんてプレゼントも小粋だと思います。

印刷に耐えるPDF出力(Craft)

Markdown式のエディタの概念を覆す、美しいPDF出力がCraftなら可能です。iAwriterでも汚くはないんですけど、「イケてない」感がすごいんですよね……。Notionも同様です。

Wordや一太郎のようなワープロアプリ・ソフトウェアに対しても、優位性があるでしょう。ガチガチに決まった書式が指定されている場合でなければ、たいていの書類作成はCraftで済ませられます。

web共有の閲覧性を保ったまま、印刷用途にも使い回せるって、実はすごいことなんですよ!

Craftの競合はNotionではなく…

NotionとCraftの本質的な競合、つまり置き換え相手はOffice365(Googleドキュメント・スプレッドシート)だと思われます。NotionがExcelキラー、CraftがWordキラーという感じですね。

神ソフトウェアExcelの牙城はそうそう崩せると思いませんが、Wordはすでに無料ワープロ・エディタにすら操作性で負けているので、比べること自体がCraftに失礼って気がします。WordはOfficeのバンドル品だからシェアを保っているだけであって、単体アプリとしては魅力が薄いです。

とくに小説同人誌用途では、使わない方がよいです。ピクニックに出かける日の靴に、黒の革靴やエナメルヒールは選ばないはず。ソフトウェア・アプリにも適材適所があります。

どうしてもMacで使えるワープロが必要なら、物書堂のegword Universal2がおすすめです。縦書き出力もきれいです。Windowsだったら一太郎ですね。もちろんCraftで組版はできないので、上記のワープロかInDesignを併用する必要があります。

ちなみにMicrosoftはNotionを丸パクリしたLoopというサービスを立ち上げています。そのうちDropboxに対するicloudみたいになれるかもしれませんが、今のところの存在感は薄いです。取らぬ狸の皮算用をはじくより、今現在がんばっているサービスを使ってあげてください。

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